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伝奇小説には“未完の大作”と云われる作品が多数ありまして、ぶっちゃけ、伝奇ものは未完でなんぼ、完結しないもの、結末は読者の想像にお委せという風潮でした。
代表例として取り上げられるのは、国枝史郎の『神州纐纈城』ですね。

さて、未完常套…いや、未完上等な伝奇小説で、何を間違って(!)か完結してしまった作品があります。
『戦国自衛隊』で有名な半村良の『妖星伝』です。

天下泰平の世、旅の士は自身を「ポータラカ人」と称する素浪人風体の男と行き交う。
ポータラカ、天の世界より落ちて来たという男によると、この星「ナラカ」は「異常」らしく、この世界は「醜悪」と云う。
季節は春。草木は萌え、花は咲き誇り、蝶が舞い踊る様を醜いと云う―。
命に満ちあふれた地球は「地獄」―。他者の“命”を奪い奪わねば自身の存続が叶わない、その事を疑問にも思わずに産まれ死ぬまで生かされるこの星の生命を憐れと云う―…
本来、この宇宙に産まれる生命はケイ素系―シリコン生命体で、鉱物を稀に摂取するだけで生き、悠久の時をほぼ思索に使う。他の命を奪うこともなければ命が喪われることも稀な穏やかな世界。地球もそうなっていたハズが何者かにより歪められて、命があぶれ殺し奪い喰い貪り合う地獄にされた痕跡があるという―。
ナラカ―地球を“地獄”に貶めた者は誰か―。何の為に命が命を奪い合うようにしたのか…?

地球を「美しい」と云う話は結構ありますが、「醜い」という切り口は斬新でした。
壮大な、地球生命の起源に迫り、この妖しき星地球の秘密を追う話は、圧倒的な筆致で描かれ山場で放置されていたのですが、
10数年後に再開され完結してしまったのです。
―が、
正直、駄作に成り果ててしまいました―。

ねちっこいばかりに懇切丁寧に、命の謎、星の秘密を描いていたのが、再開後はダイジェストの如く端折って駆け足に、投げ出す様に終わってしまって、
正直コレなら未完で終わってた方が良かったと思いました。
●ャ○◎作品で「あそこで終わってたら“名作”だったのになぁ…」というものがよくありますが、正にそんな心境でした―。

ちなみに、「ナラカ」とは“奈落”の意です。「ポータラカ」は“補陀落(ふだらく)”。落語の演目にもありますね。菩薩の住まう場所、すなわち極楽です。

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